森のようちえん ぴっぱら

自然と人とふれあって生きる その人らしさが芽生えていく おとなもこどもも共に育ち合う 鷹栖の森のようちえん

暑い夏と熱い男たち

 

ぴっぱら通信459より転載

暑い夏と熱い男たち
                       りかこ記

 この夏、年長の男の子達は虫捕りに熱中した。
6月頃から毎日毎日、パレットヒルズでのクワガタ探し。ご近所の村山さんの林。それは今も続いているのだが、その熱に圧倒させられる。
よくもまあこんなに飽きずに何か月もできるものだ。
「捕る」「捕った」という達成感、捕ったクワガタをうっとり見つめる、友達同士でクワガタを戦わせる、枕元に虫かごを置いて寝る子もいたそうな。
クワガタ捕りにまつわる物語が沢山生まれ続けた。

いつの間にか、誰が一番に捕れるかという競争心が生まれたり、一緒についてまわっていた年少、年中さんは「すぐ捕られるから一緒に行くのやめた」とぼやく。
そうかそうか、大きい子達について行くのも大変だよね。力の違いを自ら感じて悔しかったり、大きい子に憧れたりだね。そのうちに、今度は捕ったクワガタをあげる、返して、クワガタゼリーとクワガタの交換が始まる。
本当はあげたくないけど、ゼリー欲しさにクワガタと交換したり、圧力を感じてあげてしまったり…。こどもの世界で色々と湧きおこること、心の機微をスタッフは敏感にキャッチしつつ、それでもこどもの大事な世界を壊さないようどこで介入するか、どうコトバをかけるかに気持ちを張り巡らせる日々。
大人のちょっとしたコトバ一つであっという間に良い悪い、という評価が生まれたり、大人の目を気にして行動するようになったり、気持ちよくない計らいをするようになったりと、あっという間に上下関係ができたり、強い、弱い、良い、悪いという感情のやりとりが始まってしまう。
こども達が毎日繰り広げるこの世界を、面白く見つめるのか、良い、悪いで判断するのか、それは大人の心の在りように左右される。この夏、こども達は虫捕りをしながら、どんなことを感じ、心に何が積み重なったのか、覗いてみたいよね。
これから虫がいなくなって行き、次の楽しいことをどう見つけて行くのか、それもまた楽しみ、楽しみ。
年長さんはいよいよあと半年、ここからの人間関係や心の成長はぐんと深まって行く。
小さい子らもまた一杯葛藤しながら今まで以上に自分を生きて行くでしょう。大人もまたしかり。
二学期もよろしくお願いします

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