森のようちえん ぴっぱら

自然と人とふれあって生きる その人らしさが芽生えていく おとなもこどもも共に育ち合う 鷹栖の森のようちえん

クラウドファンディングに協力いただいた皆様へ

4,572,789円のご支援をいただきました
今日からぴっぱら小屋の解体が始まります

クラウドファンディングに協力いただいた皆様へ                
             森のようちえん ぴっぱら代表
                     松下 理香子

朝から小雨が降りだし、なんとなくソワソワしながら準備を始めたあの日。2010年の5月にぴっぱらが始まりました。自宅周辺の田んぼのあぜ道や野山をお散歩して、帰って来たら、薪でおかずと汁物を作ってご飯を食べて解散。そんなシンプルな予定が決まっているだけでした。夫の工房のスタッフ達が雨を凌ぐためのシートを張ってくれてみんなを迎える準備が整い、ソワソワした気持ちを落ち着かせるために、いつの間にか薪に火をつけていました。到着した親子が火のそばにやって来て、みんなで火を見ながらこれからどうするか相談してお散歩が始まる。こども達はそれぞれカエルを見つけたり、走ったり、ジーっと座って何かを見つけていたり、誰かがつくしを摘みだしたらみんなでそれが始まったり。こどものペースでゆっくり歩くって、こんなに気持ちいいんだと思ったことが、私のぴっぱらの原点になっています。

 小雨の中、ゆっくりお散歩して、みんなでつくしのはかまを取ってきんぴらと豚汁、よもぎ団子を作ってお昼ご飯を食べておしまい。誰かが「今日が雨降りでよかったね」の言葉にみんなでうなずき合って、ホワーンと幸せな空気が漂った初回。たった週一回から始まったこの時間は宝物が一杯見つかる時間でした。家にいるとイライラするけれど、外にいるだけでいつもよりゆったりした気分でいられたり、他のお母さんやこどもと付き合うことで、自分の中の何かがほどけたり。何より、みんなで野菜を刻んで、薪に火をつけてご飯を作って食べるって楽しい!

 4組の親子から始まったぴっぱらは口コミで少しづつ増え続け、一緒に働きたいという若者も3人集まり、4年目から週4日、5年目から週5日のようちえんへと進化してきました。そもそも、お母さんが気を楽に子育てできる場づくりをしたいと30代から思い続け、自宅で親子で来られるカフェを始め、親子料理教室をしたりなど、そこで出会ったお母さん達と子育てにまつわる話をするうちに、もっとこの人達と深く関わりたいという気持ちが強まって行きました。たまたま知った、園舎を持たない「森のようちえん」というスタイルがフィットしてぴっぱらが始まりました。

 お母さんもこどもも、みんなそれぞれのペースで生きて行く。それは簡単なことじゃないですよね。周囲の目を気にして生きづらくなったり、私って「すぐ怒っちゃう」「ダメな母親」と自分にどんどんレッテルをつけていってしまう。自分以外の人はなんだかうまくできているように見えてしまいます。10代からずっと自分がどうやって生きて行くか、どんな職業に就くか、いわば自己実現のために生きてきたのに、我が子とはいえ、トイレに一人で行くこともままならないような、自分じゃない誰かのためにほとんどの時間を費やすことに脳をシフトチェンジするには時間がかかります。幼児期は親がこどものことを知って行く、そして親となった自分のことを知って行く時間なのかもしれません。つらいことが一杯起こるけれど、その時間がその後の互いの人生にとって、最大に大事な時間だとわが身を振り返っても思います。その大事な時間を、どこで、どんな価値観の人達と過ごすかでもその後の人生、子育て観が変わってくると思います。

 ぴっぱらは大人もこどもも助け合い、人の気持ちも、自分の気持ちも大事にし合いながらみんなで育ち合う場所です。こどものこと、自分の生き方、家族のこと、人間関係、うまくいかなければまたそこからやり直せばいい。一杯考えて、でもそれ以上に一杯感じて腑に落ちて行く。その繰り返しの中で、また今日もやってみようと思える場や人との関係性がそこにある。そういう場作りをこれからも一緒にしませんかという想いでいます。

「幼児教育無償化」という政策で思いもしない選択をすることになりました。なんだか似合わないな~どうなるのだろうとも思います。でもこの場が、この文化が続いて行くために必要な選択だと思っています。世の中の流れはどうであれ、自分の生き方は自分で決める。それはとても勇気のいることだけれど、こどもも大人も自分の人生を切り開いて行ってほしいと思います。今回のクラウドファンディングで予想以上のお金が集まりました。たくさんの方にご支援を頂き、感謝の気持ちで一杯です。それと共に、お金を集める目標とは別に、応援や共感の言葉を沢山頂きました。今まで知る機会がなかった想いを頂いたことが、強い励ましとなってまた新たな始まりを歩んで行こうという気持ちを後押しして頂きました。ここからまた困難なこと、乗り越えなければならないことも多々あると思いますが、これからのぴっぱらもどうぞ見守って下さい。皆様、本当にありがとうございました。

画像に含まれている可能性があるもの:17人、、松下音次郎さん、湯本 赦頼さん、加藤 詩子さん、川原 允さん、中井 貴子さん、Yo-ko Kita Shimizuさんなど、、スマイル、空、屋外f:id:pipparanomori:20190706082241j:plain