森のようちえん ぴっぱら

自然と人とふれあって生きる その人らしさが芽生えていく おとなもこどもも共に育ち合う 鷹栖の森のようちえん

ぴっぱら通信NO447より転載 小屋の周りを恐竜たちが

 小屋の周りを恐竜たちが  じュんき記

小屋のまわりを恐竜たちが駆け回っている。何周も、何十周も、面白そうに。僕はこどもの頃、体育のマラソンが大嫌いだった。目指せ何周だとか、もうやめたいのに走らされている感じがして辛かった。休み時間のおにごっこはいくら走っていても大好きだったのになあ。やりたくもないことを何者かにやらされるのと、自分の心にぴったりくるものをその場で自分で選びとるのとでは、瞳の輝きも身の入り方も違うものだ。おにごっこに勝った、負けた。嬉しい、悔しい。虫、こわい。はだし、痛い。土、気持ちいい。のこぎり、あぶない…。おしつけられたものではないから、そこで得る様々な気づきや体験は全部、その子自身が勝ち取った戦利品みたいなもの。いいぞ、いいぞ。恐竜たちは戦いをやめて家族になり、砂場にあつまってお料理をはじめた。それがいつのまにやらドボク工事部隊に(もはや恐竜ではない)。しばらくして水を流すのがおもしろくなり、やがてばちゃばちゃと掛けあい。元気なエネルギーが砂場にはおさまりきらなくなって、「おにごっこしよー!」とまた走り出す。物語はどこまでもつづく。
 ただ、のびのび過ごしていたい。そんな何気ない暮らしのなかに、かけがえのない宝物がいっぱい隠れている。それが生きる力の源。次から次へとみつけては、ひとつ残らずひろっていくんだ。この子たちの挑戦をどこまで保障し、邪魔せず、必要な助けを差し伸べられるか。これは、スタッフとしての僕の挑戦だし、僕にとっての宝探しでもあるんだなあ。

 

f:id:pipparanomori:20190520205105j:plain

f:id:pipparanomori:20190520205303j:plain