森のようちえん ぴっぱら

自然と人とふれあって生きる その人らしさが芽生えていく おとなもこどもも共に育ち合う 鷹栖の森のようちえん

1番に感じるところで動ける力


1番に感じるところで動ける力   
ぴっぱら通信NO446より転載

                                  なっつ記

ごっこやカエル探しなど各々の遊びがひと段落した後のこと。お昼だというのにご飯を食べていない男達がいた。「次、氷鬼な!」「虫探し~!早く探しに行こって!」とやりたいことを口にしながらなんとなく外をふらふらしている。 そんな様子を見ながら「桜見に行きたいな~」とわたし。昨日色づいたばかりかと思っていた桜が一気に咲き始めている。HRとKIは出かける気満々でいる。せっかく行くなら他の子たちとも一緒に行きたいなぁと思い、誘ってみる。「じゃあカブトムシ探しなら良いよ」と桜はパスされたけど、YU・KZ・TS・RSも出かけることに賛成。
 「じゃあまずは正面の桜の木の辺りに行こう」と強引に桜を入れ込み6人で出発。道路沿い、ミミズ集めで盛り上がる。桜の木に到着するやいなや、「(カブトムシ)いないわ!」ホントにちゃんと見たのかと疑うほどのスピードで桜になんか目もくれず「ねぇ!パレットヒルズに行きたいんだけど!」とのご提案。もうこの人たちの好奇心は止められないや。いや、乗っていこう。乗ってみようと思った。「いいね、久しぶりだしどんなになってるか見に行ってみるか!」と決め、虫探しに夢中のHRとRSに声をかけ、パレットヒルズへ向かう。その向かうスピードに驚きながらもKIが黙々とついていく。「わぁお!」とパレットヒルズ一面満開の桜たちに目を見張るRS、KI。パレットヒルズに着くなり、くるりくるりと自分の目的のものを探し、駆け回るKZ、YU、HR、TS。あら、りかさんとAYもやってきた。エゾエンゴサク、ヤチブキ、ネコノメソウ、スミレ、一気に春が芽吹きだしている。「ねぇ、卵だ!カエルの卵~!」とだれかが叫んだ。駆けつけるとそこには確かにエゾアカガエルの卵、よく見渡すとサンショウウオの卵もたくさん。みんなの顔が一気に輝きだす。
 春の記憶がブワっとよみがえったかのように。「ねぇ、コゴミなってるか見にいこ!」というとニタニタ笑いYUがついてくる。なんでかって?あの春の苦味と塩の絶妙な旨さを知っているからだよね!と勢いづいたものの、想像していたコゴミの姿と違い「え!なんでだ!」とがっくりしたり。HR、KZ、RSが(ぴっぱらで)捕まえたカエルを池に放し泳がせて盛り上がっていたり。それをほのぼの眺めるかいせい。そんな様子をにこやかにカメラに収めて歩くTS。やっぱり春は豊かで、面白い。大変なこともたくさんある春だけれど、こどもたちにはきっと1番に感じるところで動ける力があると信じている。行ったり来たりを繰り返すけれど、着実にちゃんと前に進んでいる。それぞれここからまた始まるんだなぁ。そんな気がした小雨の午後。「さぁ、そろそろ小屋帰ろうか~お腹すいた~」

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ぴっぱら通信NO446